※多くの方[特に治療家]に宗田先生を知って頂きたいと思っています。もし不適切な箇所があればご指導下さい。
日本臨床スポーツ医学会学術集会
会長講演『膝の外傷・障害からのスポーツ復帰~自らを知り、再発を予防する~』
演者:宗田大(むねた たけし)
※ご自身の臨床(治療)についてお話されました。
スポーツ外科医の想い
色々なレベルの選手が訪れそれに対応しより早く治り復帰し再受傷を防がなければいけないが、選手自身が自分を回復状態を自分で知ることがかけているのではないか?
という風に感じられる。
あるバレーボール選手は、ジャンプ後の着地による軽度の力で前十字靭帯を切ってしまい、まさかあんなゆったりとした着地で大事な靭帯が切れてしまうなんてショックでした。
サッカーでもそうで、有名なウォーエンの受傷も大相撲でも....
最新の分析でACL損傷を検証すると、まず急激な外反内旋が接地40msので起こり筋肉でのコントロールが難しくその後に外旋が起こる。
ACL損傷する股関節のキネマティクスを検証すると着地時の股間節は外転屈曲内旋位をとり着地40msまで一定であった、そうすると着地時体幹は直立し後方傾斜を示し重心は膝より後方になり相対的に股関節は伸展して固定される。また、股関節外転外旋筋が発揮できず強い内旋を起こし固定され着地時の床反力を股関節で受け止められないことがACL断裂の原因とも言える。
もちろんコントロール群と比べるとACL患者の臼蓋形成不全は確かにあり関節弛緩性も認めるように先天性の要素も関係する。
また、股間節がうまく使えず膝を屈伸する動作では股関節が曲がらないで膝のみが曲がるような使い方をする選手も多い。
ACL再建術の動物実験では50%程度の強度にしか戻らず、人のOPEでも再現性についても実際には再現できているかは未だ不明であり、手術しても外反動揺性がより強くなる
傾向がある。
いわゆるファンクショナルテストには、
ヒューイット先生のドロップジャンプテスト、ホップTESTでもいいが、ACL受傷機転を考えると納得できず、患者へのフィードバックが解らないので物足りない。
ACL術後の運動制限解除について指標が確定されておらず、先行研究でもたった2しか無く4,5項目で運動を許可していいのか疑問に思う。
その為にFMSやY TESTなどの実施することで指標になるかを検証したが6ヶ月行っても差はないということが判り決定的なものはなかった。
しかし、早期の復帰のためには指標が必要であり、宗田らは術後3ヶ月の活動性評価を散り入れることにした。
復帰に向けたプログラムにおけるは最初の目標はジョギングが出来ることだが、ジョギング開始の指標として
『安定した片足スクワットができればジョギングから開始』としている。
また、スマートに復帰するためには自分でわかることが大切で、『患者が自分自身を知ること』と 『簡単で短時間で繰り返しできること』が大事である。
活動性の評価は基本動作を評価し、基本動作はスクワットとジャンプと考えている。
①片足でできるだけ深く膝を曲げ5秒キープして立ち上がる。このとき90度以上曲げられるかは個人差があり、股間節の内旋や足関節の安定性で変わる。
②次に片足でハーフスクワットをしてもらいその状態からリズミカルに3回ジャンプしてもらう。また、側方にも左右に3回ジャンプしてもらう。
※つま先立ちをするとジャンプがその場で安定することも珍しくない。
この評価に対し、
オリンピアンでは安定して行うことが可能だったが、他の患者は健側であってもしゃがむことすら難しく患側のTESTはあぶなくて出来ない人もいる。そんな状態で今までスポーツをしていたと思うとゾッとする。また、競技や性差によってはしゃがみやすいやジャンプしやすいなどあるが、つま先立ちすら不安定でうまく出来ないことも珍しくない。
復帰している選手も基本動作が出来ているとはいえず健側すらうまく出来ない事が多い。
結論的には、患者自身に簡単な動作がどれだけ出来ないかを知ってもらうことが大切で、それは可動域制限なども同じ。改善法を知り自分ですることも大切です。
だがそのためには、個人差はあるだろうが順序だったプランあるのは当たり前で、プランに基づき繰り返し訓練する必要があるが、やはり自分の今の状態を把握する必要があり指導する側もどうやって分からせるかが課題である
というところで会長講演は終了しました。
ご自身の臨床で気軽に聞けるものを言っておられましたが、結構難しいかったですよ。なぜって話のスピードが早いから(笑)