こんにちは、スポーツ障害と戦う治療家 堀江龍太郎です。
今回のお話は、最近ブームになっているランニング(マラソン)の怪我についてです。
内容は、脚のスポーツ障害の権威である奈良県立医大の熊井司先生の講演と当店の治療についてです。
持久性スポーツによる足部足関節障害-ランニングによる踵部痛について- 熊井 司
奈良県立医大 阪奈スポーツ関節鏡センター
・近年アキレス腱と足底腱膜で来院する患者が多く、オーバ➖トレーニングが影響している。しかしながら、オーバーワークやオーバーイート等、オーバーと付くやつは、なかなか辞められないということです。年代としては20~40代が多いが、ここ2,3年で50代が目立ってきている。
では、歩くと走るでは何が違う?それは走行には浮遊期があり(両足が浮いてる)、蹴り出す力は歩行の7倍にもなり全く異なり相当負担がかかります。
また、走り方でもその負担が変わり、近年流行っている踵着地の走行からミッドスタンス(踵をつかない)走行ですが、その流行に比例してアキレス腱炎や足底腱膜炎などの下肢障害も増加している。
踵着地では歩幅を大きく取れるストライド走法が可能だがその分、踵にかかる床反力(地面から帰ってくる力)が大きくなる。
合理的な推進力を得ようとミッドスタンス走法を行うのだが、踵着地では床反力を骨で支えるの(図1)に対してミッドスタンスではヒールコード構造(図2)によって足底腱膜やアキレス腱・下腿三頭筋で支えなければいけなくなる。そのためヒールコード機構の柔軟性と強度が必要だが下肢のトレーニングをせずにミッドスタンス走法を行うと下肢軟部組織である足底腱膜やアキレス腱・下腿三頭筋の障害が発生してしまう。
これにより起こる障害が ポステリア ヒール ペイン(後部踵痛)としています。
図1
図2
・ポステリア heel painっとは
後部踵痛には数種類ありますが、疼痛部位によってどこが悪いかしっかりと鑑別できます。
痛みの場所が、ヒールパッドペイン(踵部脂肪体損傷)は踵骨後部足底面中央、足底腱膜炎は踵骨内側でヒールパッドより遠位(つま先側)に痛みを訴える。ジョガーズフットは内側足底神経が母指外転筋に拘束され広範囲に症状が出ます。
その中にも細かい鑑別があり保存療法が効かず体外衝撃波やヒアルロン酸による異常血管剥離を行うことになる為に、整形外科の専門医に受診する必要があります。
しかし、それだけでは再受傷は防げないため、ヒールコード構造を理解する必要があり、これにより予防やパフォーマンスアップが行えます。
下部ヒールコードは下腿三頭筋ーアキレス腱ー踵骨ー足底腱膜で構成され、幼児期のXP像では踵骨骨端線が膝蓋骨のように見えるため膝関節伸展機構と同様と考えられ、膝関節伸展機構のケアと同じく踵骨の近位と遠位の軟部組織のアプローチする必要がある。
治療的トレーニングとしてはEccentricエクササイズ(EE、図3)が有効で、ヒールドロップからヒールレイズを行うエクササイズになり階段などの安定した段差があればどこでもエクササイズができます。
図3
また、長趾屈筋や長母指屈筋に痛みがある場合は足の指を角に引っ掛けてEEを行うと効果的です。
しかし、癒着部炎などのインピンジメント症状には有効ではない。
また、下肢のマルアライメントが崩れていることが原因になるのでアライメントチャックも必要です。
その方法はフロントランジだけでなくサイドランジでも行うことでより競技的な評価化も行える。
治療方法はヒアルロン酸での癒着剥がしや体外衝撃波での組織再編をおこなうが、組織の編成によって治療が異なるため一律に行うものではなく見極めが必要。
また、ファットパッドPAINではサイドを補強する機能があるヒールカップが有効。
とっここまでが、熊井司先生の講演でした。
当店で行う治療の流れ
- 鑑別診断:当店の治療で改善できるものかどうかの判断をします。
※一番大事いしているところで、ほとんど全ての患者さんが当店で改善しますが外科的な治療が必要な方もおられるためです
・整形外科的な怪我の検査:どこが痛いかのチェックです
・身体的な運動機能の検査:機能の低下が起こったことが怪我につながります - 下半身の怪我の場合は、股関節の外転筋出力と膝関節の伸展出力が低下している場合が多く
この機能を改善させればほとんどの症状が改善します。 - 下のイラストの運動にトレーナーが手で抵抗をかけてチェックします
正常であれば相当な力でも押し返せますが、出力が低下していると競輪選手級の筋肉があってもかんたんに押し負けます。
この先は、当店で行っているリアラインコンセプト治療やローカルマッスルテクニックを用いて症状を改善します。
大きな痛みはほぼ1回で改善し、2回目以降は違和感などの改善になります