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この記事は medley.life より転載しております
バターなどに含まれる「飽和脂肪酸」、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」は心臓や血管の病気を増やすと言われていますが、これまでの研究を検証した結果、飽和脂肪酸と、トランス脂肪酸のうちある種類のものにはその関係が見られませんでした。
◆過去の研究を検証
研究班は、これまでの研究で、脂肪の摂取と死亡率や脳卒中などについて調べたものを集めて検証しました。
脂肪の分子は脂肪酸とグリセリンが結合してできていますが、そこに含まれる脂肪酸の種類によって、健康に対する影響は違うと考えられています。
脂肪酸には飽和脂肪酸、トランス脂肪酸などいくつかの種類があり、この研究ではトランス脂肪酸をさらに細かく、工業的に作られるトランス脂肪酸と、牛などの動物の体に由来する反芻動物トランス脂肪酸に分けて検討しました。
◆工業的トランス脂肪のみ冠動脈疾患および死亡率と関連あり
次の結果が得られました。
飽和脂肪摂取は全死因死亡率(相対リスク0.99、95%信頼区間0.91-1.09)、心血管疾患死亡率(0.97、0.84-1.12)、総冠動脈疾患(1.06、0.95-1.17)、虚血性脳卒中(1.02、0.90-1.15)、2型糖尿病(0.95、0.88-1.03)と関連がなかった。
総トランス脂肪摂取は全死因死亡率(1.34、1.16-1.56)、冠動脈疾患死亡率(1.28、1.09-1.50)、総冠動脈疾患(1.21、1.10-1.33)と関連したが、虚血性脳卒中(1.07、0.88-1.28)、2型糖尿病(1.10、0.95-1.27)とは関連がなかった。工業的トランス脂肪は冠動脈疾患死亡率(1.18、1.04-1.33)、冠動脈疾患(1.42、1.05-1.92)と関連したが、反芻動物トランス脂肪は冠動脈疾患死亡率(1.01、0.71-1.43)、冠動脈疾患(0.93、0.73-1.18)とも関連がなかった。
各種の脂肪について、全体としての死亡率、冠動脈疾患(心筋梗塞など)による死亡率、死亡に至らないものを含む冠動脈疾患全体の頻度、脳梗塞、2型糖尿病との関連は以下のようなものでした。
- 飽和脂肪
- トランス脂肪(全体として)
- 工業的トランス脂肪
- 冠動脈疾患による死亡、冠動脈疾患:増える
- 反芻動物トランス脂肪
- 冠動脈疾患による死亡、冠動脈疾患:増えない
つまり、病気や死亡率の増加と関連が見られたのは、トランス脂肪を全体として見たときと、工業的トランス脂肪だけで、反芻動物トランス脂肪だけに限ると関連が見られませんでした。飽和脂肪には関連が見られませんでした。
脂肪と言ってもすべてが同じではないという点については多くの研究があります。その中で比較的危険と見られてきた飽和脂肪酸、トランス脂肪酸についても、一口に悪いとは言えないかもしれないという結果が示されました。
この結果だけで断言することはできませんが、もしこうした違いがあるなら、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を過剰に恐れることはないのかもしれません。[rev_slider home-page][rev_slider home-page]
◆参照文献
Intake of saturated and trans unsaturated fatty acids and risk of all cause mortality, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis of observational studies.
BMJ. 2015 August 12